Iターン族が挑む新しい丹波の農と食

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丹波栗
丹波栗 丹波市春日町の三心五観にて

 丹波(たんば)地方は、兵庫県の北部・篠山市と丹波市、京都府の北部・福知山市などが含まれ、戦国時代には明智光秀の領地として知られる。大阪からの入口に当たる篠山へは、大阪市街から電車・車ともに約1時間の距離。
 丹波には目立った観光地はないものの、秋の季節は、丹波栗、黒豆に代表される高品質食材の宝庫となる。この環境に惹かれ、Iターン者が集まり始め、彼らが作り出した人の繋がりから、地域が少しずつ変わろうとする兆しが見える。今回は、食と人を中心に3人の若者を取り上げる。(取材:2012年10月)

在来種による有機農法に取り組む竹岡正行さん

竹岡さん
竹岡正行さん 雨のため、作業場兼趣味の自転車のガレージにて

 大阪で教育学と社会福祉を専攻した竹岡正行さんは、3年前丹波の山奥に移り住んだ。有機農法による米や野菜は市場に流通させず、契約した個人・店舗向けに直販をしている。(竹岡農園のwebサイト

 一般的に使われている種はF1種と呼ばれ、必然的に農薬や化学肥料を必要とする。一方、固定種(在来種)と呼ばれる種は有機農法に向いている。有機農法をF1種で行なっても、成功しない。(種の話、詳細は野口種苗のサイトで)

 また、一口に有機農法といっても、肥料の与え方を間違えると、決して健康的な作物は出来ない。農法次第では、肥料そのものさえ不要になると竹岡さんは言う。

 竹岡さんの野菜には、エグ味がない。噛むとストレートに味が伝わるのではなく、じんわりと甘さが口に広がる。調理のしようがないとまで言われ、料理人泣かせの素材でもあるそうだ。

ラーメン店を畳んで丹波に野菜レストランを開業した藤本傑士さん

三心五観の藤本さん
三心五観の藤本さん一家とスタッフ

 地元の味を訪問者が楽しめる場所も出来た。

 神戸にある潮ラーメンの名店「しゅはり」の創業者である藤本傑士さんは、その経営権を譲り、丹波市の春日地区に昨年家族でやってきた。化学調味料を使わないラーメンを提供していたことから、食文化・食経済そのものへの探求が深まる。2012年の8月、自家菜園で採れた野菜だけを中心にした野菜レストラン「三心五観(さんしんごかん)」を開いた。

 藤本さん自身は決して菜食主義者ではないが、野菜を食べることや、併設の農園で野菜を採る体験を通じて、食についてもっと知ってもらいたいという思いがある。例えば、飢餓は世界中に存在する。1kgの食肉を生産するには11kgの飼料が必要になる。日本の食料自給率はカロリーベースでは39%である一方、1/3の食料が廃棄されている。などなど。

 こういった状況を改善する方法の一つは、もっと地の野菜を食べる習慣を身につけることである。都会にいると、頭で知っているつもりのスローフード、地産地消、フードマイレージ…などの言葉が、現地で体験してこそ、理解出来る気がした。

 レストランは予約制で一人1800円。詳しくは、三心五観のwebサイトを。

「三心五観」 〒669-4252 兵庫県丹波市春日町下三井庄159-1

日本酒Barのオープンを目指す安達鷹矢さん

安達さん

 大手IT企業・楽天を退職して丹波に移り住んだ安達鷹矢さんは、今年25歳。

 篠山に知り合いが偶然いたことに加え、篠山城や古民家のある風土に惹かれ移住を決意した。今はNPO法人北近畿みらいで観光PRに従事。個人プロジェクトとして、譲り受けた古民家を改修し来春を目処に日本酒Barのオープンを目指している。

 さらに、地域で開設が予定されている田舎暮らし体験住宅の管理人として、今後の移住予備軍を増やす取り組みにも関わっている。

■続き「丹波、実りの秋に見えた新しい萌芽 – その2」へ


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