丹波、実りの秋に見えた新しい萌芽 – その2

公開日: 著者:
前川さん
株式会社M&Gを経営する前川進介さん

地元・Uターン組の経営者も動き出す

 そんなIターン族との交流から、地元の若手経営者の中にも変化は起き始めている。

 蒸留精製した木酢液「爽美林」を販売する株式会社M&Gを経営する前川進介さんは、新しい事業ドメインとして「みんなの村」プロジェクトを構想している。「みんなの村」は、丹波が抱える社会問題(山林・竹林の荒廃、耕作放棄地の拡大、鳥獣被害など)を解決しつつ、そうした自然由来の商品を都市部の子育て世代に提供するビジネスだ。

 篠山市で内装業「サロンテリア大林」を営む細見勇人さんは、以前から広告宣伝をほとんどしない読み物としてのチラシを定期的に配送、地元の人に「捨てられないチラシ」として親しまれていた。それをさらに発展させるべく、今春から、ネット上と実地で新しいコミュニケーション戦略を始めている。

 まずは店舗を改装し、地元の人が集まれるスペースを設置。また、これまでチラシで培っていたコミュニケーションのスキルを活かし、Facebookで繋がった地元の主婦を中心としたコミュニティづくりも支援。地元主婦層からの絶大な信頼を得て、受注も増えているそうだ。

 「狙っているわけではない。純粋に応援したり、喜んでもらおうと頑張ったりすることを真剣にやれば、勝手に仕事が入ってくるんではないかと信じ始めているところ」と優しい笑顔で細見さんは語ってくれた。

都会の人との接点を増やす活動を継続して行うこと

枝豆の収穫枝豆の収穫体験

 前川さんに誘われて、週末に開催されていた「たんばなう」というイベントに同行した。取材当日は、京阪神の人を呼んで、マコモと黒豆の収穫体験に、丹波地鶏親子丼の商品開発ワークショップが開催されていた。これは、兵庫県の「ビジョン委員会」とも連携し、民間主体で都会の人との接点を増やす取り組みだ。

 マコモはイネ科の多年草。芽(写真下部)はマコモダケと呼ばれ、食べることが出来る。この地域では、マコモの「葉」(写真上部)に当たる部分を乾燥・焙煎させ、茶としての商品化を検討している。マコモ茶は、苦味もないマイルドな風味で、血糖値の抑制効果があると言われている。

 枝豆は、根本を枝切り鋏で裁断。根本に近い部分にサヤがたくさん隠されている。都会の人にとって、枝についた枝豆を見る機会は少ない。体験収穫イベントを行うと、枝付きのまま持って帰りたいという声が毎回参加者の中から上がるが、自宅での手間を経験すると、次回からはサヤの状態を欲しがる。

 こういう感覚が持てるのも、体験収穫の魅力だと思う。

丹波は食と人に可能性あり!

参加者全員でマコモを収穫した参加者全員で記念写真

 丹波は、大勢の人が観光で訪れるような場所ではない。一方、可能性は食と人だ。また、それほど都心から遠くないところの田舎というメリットもある。こういった資産を活かし、アグリツーリズムやIターン・Uターンを促進していけるのではないか。

 行政(市)の積極性が見られないのは残念だが、行政に頼りきっている時代でもない。食をフックに人繋がりで数珠つなぎに呼び込む。丹波との関わりを増やし、まずは何回でも来てもらえるように。

 そのキーパーソンが、前の記事で紹介した横田さんだ。丹波に興味を持った人は、横田さんを中心に運営しているFacebookページを一度見てもらいたい。もっと興味を持った人には、直接私から横田さんを紹介します。


関連する記事