オンライン地図をエンジニアと作りながら地域を再認識 – 伊豆大島

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長根浜公園空撮
写真:空撮が出来るUAV(無人航空機)から撮った大島 (c) MAPconcierge/GeoBeeAir, CC BY-SA

 Georepublic Japanの関さんに、伊豆大島で行われたオープンストリートマップのメンバーによるイベントについて寄稿してもらいました。町民と一緒になって地図や観光情報を作る活動の中から、地元の人が自分の住む場所を改めて見直したり、地元の人ならではの情報が観光情報に付加されたりするなど、地域とITの面白い関わりの事例が生まれています。(編集担当:本田)

 Georepublic Japanの関と申します。昨年は第10回ジオメディアサミットで、finderとコラボさせて頂きました。

 みなさんは、オープンストリートマップ(OSM)というプロジェクトを知っていますか? Wikipediaのように、みんなで自由にネット上の地図を作る活動です。あまり特別な技術や知識がなくても、インターネットで地図を作っていくことが出来て、全世界で100万人以上のメンバーが日々地図を編集し続けています。しかも商用、非商用問わず自由に使えます。

 そのOSMのメンバーでもある私は、1月19日〜20日の2日間を使って、伊豆大島でマッピングパーティ*1とハッカソン*2というイベントを地元の方たちと行ってきました。

*1: マッピングパーティ:オープンストリートマップの地図作成イベント
*2: ハッカソン:エンジニアが集まり集中的にコーディングを行う開発合宿のようなもの


地元の人とマッパーでみんなで島の情報を充実させよう!

 昨年から、国土交通省や三菱総研、スマッポの杉山さん、地元の観光協会やネイチャーガイド達とのプロジェクトで、伊豆大島に関する位置情報ポータルを構築する仕事をしています。伊豆大島ジオパーク・データミュージアム(http://oshima-gdm.jp/)といい、通常の観光情報サイトとは違い、地元の人が自由に簡単に地図付きの記事を書き込めるWiki形式と呼ばれる観光情報サイトです。今は大島町観光協会の方が編集長となり、地元のガイドや高校生といった島の人々がデータを入力する形でサイトを作っています。

 昨年末にオープンしたこのシステムは、そのサイト内にあるデータをオープンデータとしてAPIで公開していること、誰でも更新出来るOSMをベース地図に使っていることなどから、ハッカソンやマッピングパーティを通じて島の見どころや防災に関する情報を入力するほうがいいということになり、イベントを開催することになりました。


写真:ログをとる参加者たち (c) Nobusuke Iwasaki, CC BY

地元の観光協会やガイドさんが島を案内

 参加者は島外から15名、島内から10名ほどでしたが、マッピング3チーム、ハッカソン1チームに分かれて活動を行いました。マッピングは、紙地図やGPSロガーをもって町を実際に歩き、そこで記録した情報を元にオープンストリートマップのデジタル地図を編集していく作業です。ネイチャーガイドと一緒に、三原山火口や元町、波浮港といった代表的なスポットを回ってログをとってきました。

 一見普通の道でも、そこには昔から続いてきた人々の生活があります。地元の方の解説により昔の大島の人々の生活や雰囲気を感じることが出来ます。地図を作るという視点で街を歩くことで、その場所の歴史をより深く知ることが出来ます。また、地図を書く上で重要な情報、店舗名や営業時間なども地元の方に聞くことで把握が容易になります。

 一方ハッカソンチームでは、伊豆大島ジオパーク・データミュージアムのデータを使ったARアプリを作ることになりました。カメラをかざすと、周辺の島や町、山の名前がオーバーレイされるというiPhoneアプリです。島から見える山などのデータを地元の人達がデータミュージアムに入力していく間、エンジニアチームがアプリ開発を行いました。

アプリスクリーンショット

他のどこにもない詳細な地図が完成

 2日間のイベントを通じて、とても素晴らしい大島の地図が完成しました。インターネット上の他の地図サービスに比べてもかなり詳細に書かれている部分もたくさんあります。

 伊豆大島ジオパーク・データミュージアムのコンテンツもたくさん増えました。ハッカソンチームのARアプリも、実際に実機でデモが出来る状態まで完成しました。

 より詳しい成果については、イベントの取材をされた片岡さんに【趣味のインターネット地図ウォッチ】 第153回:「伊豆大島ハッカソン&OSMマッピングパーティー」参加レポート – INTERNET Watch記事にして頂いています。

 地元の方々のコメントでも、地図を書くという体験を通じて街を見ることは新鮮だったようです。グローバルネイチャークラブの西谷香奈氏からは、「地元の人が『この道が一番好き』とか『生活に使ってた道でした』といった情報を観光客に教えると、何気ない道であっても楽しんでもらえます。こういった情報をOSMで表現していければ、島の財産を多くの人に発信出来ると思います。」というコメントをもらいました。イベントの後もFacebookグループで活発に意見交換がされており、地図自体の編集作業も続いています。

 マップコンシェルジュの古橋さんは、空撮が出来るUAV(無人航空機)を持ってきてくれました。それによって撮影した写真が冒頭の写真です。参加者の記念撮影も上空から撮影し、盛り上がりました。

集合写真空撮

今後の展開

 伊豆大島ジオパーク・データミュージアムは昨年末に立ち上がったばかりですが、既にたくさんのコンテンツが入ってきています。島の人達の頑張りにより、これからも情報は充実していくでしょう。システムとしても様々な改善案がありますので、出来るだけ実装していきたいと思います。せっかくですのでARアプリについても、リリースまでもっていきたいと思っています。

 伊豆大島ジオパーク・データミュージアムの運営主体となる観光協会を中心に、システム構築を通じて何度も島を訪れて地元の方たちとの関係づくりをしてきました。引き続き島の情報の充実に協力していきます。また、伊豆大島ジオパーク・データミュージアムはLocalWikiというオープンソースシステムを改良して作っていますが、今回LocalWikiの有用性をとても強く感じました。観光や防災だけでなく、子育て情報などのWikiも作ってみたいと思っています。

 他の地域でも興味があれば、是非御連絡下さい。(hal[at]georepublic.co.jp ※[at]を@に)