沖縄に足りないのは起業したい若者を受け止められる大人の存在

公開日: 著者:
池村光次氏
01Startup代表の池村光次さん

 沖縄のスタートアップ・起業シーンの中心人物にして、2013年3月のStartup Weekend Okinawaを主催したのが、01Startup代表の池村光次さんだ。宮古島出身、金融機関やベンチャー支援企業などで働き、東京で会社を経営する。現在は東京と沖縄を往復しながら、沖縄に新たな起業文化を作ろうと奔走中である。

 活動のきっかけは、昨年立ち寄った那覇での若いエンジニアたちとの出会いに遡る。池村さんが彼らのプロダクトを見せてもらったところ、ちゃんとプログラムを書けるスキルがあるのに、身内で見せ合うだけになっていた。起業やそれを支援する取り組みについての話に興味はなく、周りにもそういうチャレンジをしている人はいなかった。どこに就職するのかと聞けば、受託の会社で、給料は凄く安いと。

 東京には違う選択肢もあり、そこで普通の人が目を見張る成長を遂げているのを見てきた池村さんは、何かもったいないと感じたそうだ。「いま東京で行われているようなことを、沖縄でも出来ないか。」

「起業したい人はいるけれど、それを受け止められる大人がいない。」

 起業したい若者はいなくはないが、沖縄には、起業に対する知識が不足している。池村さんは続ける。
「ベンチャーを立ち上げたいと言うと、ネットワーク系のビジネスや悪質なアフィリエイトのビジネスに巻き込まれたり、学生の起業家塾に何十万も払ってしまったりなど、若者の起業に対してはネガティブなイメージがついています。」

 ましてや、「投資」という形態の資金に馴染みがない。昨年ある若者に出資の話があった時も、周囲の理解を得られなかった。県が主体となっている大型ファンドも有効に機能している様子がない。県内には、インキュベーション施設やインキュベーションマネージャーも数多い。しかし、そこに新規創業の相談に行っても、アイディアやモデルのレビューをするのではなく、事業計画書の数字の詰めに終始してしまうことが多いという。

 「そういうのはもったいないですよね。その前のニーズや、本人のやりたいことは何なのかを適切にメンタリング出来る人がいると、その子も伸びるし、お互い楽しいはず。ちゃんとした人が設計して、次のステップに渡してあげることが重要なんです。」(池村さん)

 Startup Weekend Okinawaの会場を訪れていた琉球大学産学官連携推進機構の宮里大八さんも、いま沖縄に欠けているのはメンター足りうる大人の存在だと語る。

 ここ数年沖縄で立ち上がり、事業化出来ているITベンチャーは、池村さんの知っている中ではゼロだ。
「沖縄では、受託している人たちがポジション的には上。独立しても、受託の人は凄い!という感じです。まずは都内のインキュベーションのアクセラレーター事業に採択されるだけでも、今はまだ十分成功だと思っています。そのためには弾をたくさん作ります。」(了)

※「起業」という言葉の指し示す範囲は、人により異なることが多い。独立開業を含める人もいれば、法人立ち上げ、自社サービスを主とした事業運営、新規性、拡大指向などの条件を仮定する者もいる。ここでは、後者寄りの意味での「起業」を語っている。なお「ベンチャー(企業)」とは、新技術・知識を元にした創造的な事業を営む中小企業を指す一種の和製英語であり、IT業界では近年、同様の意味を持つ英単語「Startup(スタートアップ)」が使われる。