finderの「プロジェクト」一号は、徳島でエンジニアのコミュニティ作り

公開日: 著者:
杉本さん「ビジネス・スタートアップ」と題し講演するブリリアントサービスの杉本礼彦代表

finderのプロジェクト部門がようやく始動!

 2012年10月末のリリース当時から我々が標榜していたのが、finderはメディアとプロジェクトの両輪であるということです。地域活性化xITを軸に取材を続ける「メディア」部門に対し、「プロジェクト」部門は、自分たちも1プレーヤーとしてこの動きに参画することを目指しています。

 そのプロジェクト部門が、2013年7月24日、ようやく本格的なスタートを切ることが出来ました。finderは今年度、徳島県による「クリエイティブ人材育成事業」を運営する株式会社徳島健康科学総合センターに対し、その実施内容、つまりコンテンツ作りをお手伝いしています。具体的には、セミナーやワークショップ、ハッカソンなどを開催していきます。

 アベノミクス以前から、地方には相当な予算が下りていることを、この半年の取材で実感していました。その大名目は、地域の雇用確保・失業者対策です。特に地方自治体が民間から公募する案件の大半は、「緊急雇用対策事業」と呼ばれる枠組みです。失業中の人材を雇用し、その人件費と同等額を事業予算として見積もることが出来ます。言い換えると、人材が見つからないと事業が成立しないわけです。我々も、新年度から、まずこの人材確保で2ヶ月を棒に振りました。

 我々が現地スタッフとして求める人材像は、ITリテラシー特にソーシャルメディアを使え、起業やITにも興味のある人。「緊急雇用対策事業」の人材はハローワークで募集されますが、そもそも徳島では、そうした人材に巡り合えるチャンスは中々ありません。幸い、2名の優秀なスタッフが見つかり、6月からようやく始動することが出来たのでした。


起業マインドの理解を通じて、徳島のクリエーターの市場価値を向上させる

TET

 我々はこの事業を「Technology & Entrepreneurship TOKUSHIMA」(略称:TET)と名づけました。Information Technologyを活かし、起業についての理解を深め、徳島のクリエーター(IT系エンジニア)の市場価値を向上させることが狙いです。

 背景は主に2つあります。一つ目は、県内最大のIT企業であるジャストシステムがキーエンスに買収されて以降、優秀な技術者の県外流出が止まらないこと。もう一点は、徳島に限りませんが、地方のIT技術者は下請けの末端に位置することが多いこと。これは、オフショアの労働力に侵食されている領域です。

 これらの問題を解決する手段として、エンジニアや地元のIT従事者に起業マインドを理解してもらうことで、より主体的なサービス開発が出来る人材を育成することが、地方自治体として急務になっています。

 ただし、無闇に起業を薦めはしません。また、これは我々が東京で見聞きしてきた起業後初期段階の投資に関する様々な齟齬、その多くは出資を受ける側の不勉強や固定観念に基づくものですが、地方でその二の轍を踏ませない、むしろ防波堤たりえることも視野においています。

目的を持ったコミュニティの形成を支援する

TET-1 会場の様子当日の会場の様子

 この目標実現のため我々が最重視しているのが、「ITコミュニティの育成・活性」です。近年「コミュニティ」ほど、人口に膾炙されながら、人によって理解の異なる言葉はありません。

 我々の問題意識は、徳島や四国に、TETの方向性を理解するIT系エンジニアなどは存在しているものの、点在であり、なぜか横のつながりが弱いということ。恐らく、東京ほど個として立つ必要がないからかも知れませんが、前述のとおり、それは今後のジリ貧を意味します。彼らが繋がることで、情報交換やスキルの切磋琢磨、仕事の融通、あるいは新事業の創出などが起こる場作りを手助けしたいと思っています。

 そういった人には中々巡りあえず、当然ながら初回のセミナーの集客にも苦労しました。しかし、灯台下暗しとはこのことで、健康科学総合センターに入居するIT企業の中から、TETに協力してくれる人が現れたのです。これが突破口となりました。ここからは、まさに一本釣りの如く総動員で人のつながりを手繰り寄せ、セミナーに多くの参加者を集めました。

 初回の講演者は、ブリリアントサービスの杉本礼彦代表。エンジニアから経営者になり、日本でのAndroid向け開発のパイオニアの一人でもあります。経営理念、倒産の回避法、今後日本が強みを持てる領域の3テーマについて、非常に実践的な内容の講演となりました。(視聴したい方は、Ustreamにアーカイブが残っています。)


帰らない参加者の姿に手応えを感じる

 単純な質疑応答では盛り上がらないことは、容易に想像出来ました。そこで、モデレーターを務めたfinderの奥田が行ったのが、テーブルの前後4人で今日の感想や質問、TETへの要望を出し合い、各テーブルごとに最低1つ出してもらうこと。これにより、参加者もリラックス出来たのか、多数の声を寄せてくれました。

 何よりも成功を確信したのは、講演終了後も来場者同士で盛り上がり、運営側が時間の都合で会場を閉めざるを得ないという光景を目の当たりにしたことでした。来場者同士のつながりこそ、コミュニティの核です。この会場で普段行われるセミナーでは、かつて見たことのない展開だったそうです。

MA9

 総じて徳島の人は、言いたいことはあるけれども、きっかけを探しているような印象を受けました。マイクを差し出されると喜んで話し出すと言えばいいでしょうか。我々はあくまでもお手伝い役です。徳島のITコミュニティがより自発的に活性化されるよう、これからも二の矢・三の矢を放っていきます。8月31日から9月1日にかけて、日本最大級の開発者向けコンテスト「MashupAward(MA)」のアイディアソン・ハッカソンを開催します。MAとして四国初上陸となります。詳しくは、応募ページをご覧下さい。

 徳島ではこれに限らず、「Code for Japan」の徳島版「Code for Tokushima」のローンチを計画しています。また、自分たちも徳島に一つ会社を設立しました。これについては、また後日お話する時が来るでしょう。

 今は徳島に注力していますが、finderは、この動きを横展開させたいと思っています。同じようなプロジェクトを立ち上げたい地域が他にもあれば、ご相談下さい。(了)


関連する記事