シビックハックの広まりと地方エンジニアの躍進 – MA9総括

公開日: 著者:
いのしし一頭賞
finderの奥田浩美(左)と「いのしし一頭賞」を獲得したamay077さん

 日本最大の開発者向けコンテストMA9(Mashup Award 9)も、2013年11月12日のファイナルをもって無事終了。我々finderもメディアパートナーとして参加し、「地域の課題を解決するor魅力を発信する」アプリを対象に「いのしし一頭賞」(仔イノシシ一頭分の肉を贈呈)としてスポンサードした。(ファイナルステージの全結果はTechWaveの記事に詳しい。http://techwave.jp/archives/mashupawards9_finalstage2013.html

 受賞したのは、株式会社コスモルートの奥山裕紳さんが開発した「富士フォト」(http://ma9.mashupaward.jp/works/348)。静岡県が公開する「ふじのくにオープンデータ」の「富士山ビューポイント」を活用したAndroidアプリである。現在地付近にある撮影スポットの検索や地図上での表示、スポットで撮影された富士山の写真の表示などが行える。

 地域の魅力を発信するというテーマに最も合致していたこと、実装の状況が良く出来ていたことなどから、賞を贈らせて頂くことにした。今後の開発について同氏に話を聞いたところ、上級職員にiOSデバイスが配布されている静岡県の担当者からは、彼らに使ってもらうため、iOS版の開発を熱望されているとのこと。

 今年のMA9で特徴的だったのは、ファイナルステージ(最終審査)進出12作品のうち4つが地方(東名阪以外)からの作品であったことだ。特に昨年来事務局が積極的に全国を廻った成果が着実に現れている。我々がハッカソンを開催し支援した徳島からも3作品が入賞。入賞歴はあったものの今年初めて賞金を獲得した人や、いきなり優秀賞を獲得した作品(SAMURAI AGGRESSIVE)も生まれた。

地域におけるICT利活用の新手法「シビックハック」の可能性と課題

MA9ハッカソンin徳島
徳島で開催されたMA9ハッカソンでのプレゼンの模様

 今年のMA9のもう一つの特徴は「シビックハック賞」が設けられたことだ。地域における課題解決の手法として、「シビックハック」が急速に注目を集めている。シビックハックとは、エンジニアがそれ以外の人々と協業により市民にとっての課題を解決するハッカソンの一種だ。MA9のブログには、このように説明されている。

シビックハックとは、市民がプログラミングやオープンデータなどを通じ、地域における課題を市民によって解決するために、新しいサービスを提案していく問題解決型ハッカソンのこと。最近では、こういった運動が世界各地で盛り上がってるのをご存知ですか?アメリカでは、政府や自治体が、開発者などを1年間の期間限定で行政職員として雇用し、都市の課題を行政の担当者と分析し、課題解決や行政サービスの向上につながるWebサービスを開発する「Code for America」が成果を上げています。 http://mashupawards.tumblr.com/post/59543036781/8-24-in-ma9

 シビックハックでは、町づくりなどに興味のある非エンジニアが企画・先導し、それに沿ったものをエンジニアが作る場合が多い。一方、特に地方の受託系エンジニアの本業では、本人の意志に関わらず指示を受け開発する傾向が強い。だからこそハッカソンくらいは、自分たちの好きな開発をしたいと考えるのも無理はない。新しいスタイルの導入に対し、ハレーションも起きていると聞く。

 エンジニアもまた、一市民として行政や自分たちの住む町に積極的に参加することの意義を理解してもらう必要がある。また、彼らに楽しみや満足感を与えられるような運営側の仕組みづくりが、今後のシビックハックの成功には欠かせないだろう。

 実例として最も注目されるのが、先日立ち上がったCODE for Americaの日本版Code for JAPANである。エンジニアが中心となり、シビックハックの手法を取り入れ、強力な武器である「オープンデータ」を活用したアプリ開発が熱心に行われている。金沢を皮切りに全国へ拡大し、各地でCODE for JAPANの地方組織が立ち上がっている。

 2014年を目前に控え、地域とITの分野で新しい潮流が起ころうとしている。(了)

MAに関連するfinderの記事
地域のパートナーと成功事例を共に – MA8の総括と全国展開への展望
開発イベントを全都道府県へ – 伴野智樹さん