市町村LINE@登録者数全国3位! 市民を動かす丹波市のSNS戦略

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平岡さん写真:丹波市企画総務部総合政策課の平岡英人さん(丹波市山南町にて)

 finderでは、兵庫県の丹波を定期観察地の一つに定め、地域活性化やITの活用、地域での新創業の動きを定期的に追っている。finderオープン時に取り上げた丹波から約1年、予想以上の変化が見られた。1つ目は自治体の取り組みについて、丹波市企画総務部総合政策課の平岡英人さんに話を伺った。(取材:2013年11月)

市長になれる!?LINEクーポン

 丹波市はLINE@の登録者数が約3500と、市町村アカウントで全国3位を誇る(記事執筆時点)。1位の福岡市、2位の千葉市が100万人前後の人口を抱える大都市であるのに対し、丹波市は約6万8000人。人口比では恐らく日本一だろう。(丹波市LINE@:http://lineat.jp/tambacity

 丹波市のLINE@の特徴は、そのユニークなクーポンの活用法だ。平岡さんによると、始めたきっかけは、クーポンの面白さに着目したことだという。
「自治体がクーポンを出すとしたら何が出来るだろうか? 今までなかったことなので、そんな発想から始めました。」

 クーポンと言っても、住民税が減額されるわけでもない。丹波市が発行したのは、市民を巻き込む町づくりクーポンだった。2013年6月、丹波市は、広報誌の表紙を飾れるクーポンをLINEで発信。当たりが届いた人の中で、最初に電話を掛けてきた人にその権利を与るというものだった。結果は見事10分で当選者が確定。7月22日発行の広報「たんば」の表紙に、当選者家族の写真が掲載された。

 また、夏には、夏休み特別企画として「世界最短、3時間だけ市長になれるクーポン」を発行した。これも15分で定員となる3名の応募があり、市長との対談、現地視察、記者会見への参加、窓口からの報告などを体験してもらった。


Facebookは生産年齢人口へアプローチ出来る

 LINEは同市SNS戦略の一部であり、本命はFacebookページだ。Facebookページでの目標は、情報発信でいいね!を増やすことではなく、「人に動いてもらえること」(平岡さん)である。ベンチマークも、コメントなどの活性化指標にあるそうだ。(丹波市公式Facebookページ:https://www.facebook.com/tambacity

 丹波市のFacebookページを見ると、市民への関与の促し方が実に上手い。その事例を2つ紹介する。市内に高校は3校ある。その校歌をワンフレーズごと一人一人にコメントしてもらうことで校歌を完成させるという企画を行った。これを市内の高校ごとに競わせることで、懐かしい高校のことを思い出すきっかけや、世代間の交流を生み出している。

 今流行の「恋するフォーチュンクッキー」もFacebookページで参加者を募集。40組以上の募集で実施と投稿したところ、700名もの参加依頼があった。人口6万8000人の実に100人に1人以上の参加率は驚異的としか言いようがない。(丹波市バージョンは12月6日公開された。https://www.youtube.com/watch?v=9fcRdYpbxY0

 insightによるとメインユーザーは25-35歳の女性である。これまで、特に生産年齢人口のニーズを汲み取る手段に苦慮していたが、Facebookはそこを担えると考えているという。そのため、Facebookページ上では子育て支援に関する情報もしっかり出している。


市役所職員の郷土愛が高まった

 運用体制は、広報誌担当と共通の専任2名。記事投稿には、市役所の職員が11名、8名の市民レポーターが協力している。その中でも 「ツナグプロジェクト」と題された、市役所職員による記事執筆が思わぬ効果を生んだ。ネタを探すため、職員たちが急に町の様子に関心を持ち出した。さらに伝えられる魅力はないかと休日を過ごすようになり、地元に対する愛着心が高まったという。

 Facebookページの正式稼働前には、1ヶ月の試行期間を置いた。他の自治体へのアドバイスとして、行政は、想定出来ない問題・摩擦には対応し切れないため、その期間でリスク等を明らかにし、規則を作っていくことが重要ですと平岡さんは語ってくれた。

 平岡さんに今後の目標を聞くと、
 「まちづくりに関わってくれる市民を増やすことを意識しています。市民による事業提案を実行するプロセスを、Facebookを使って作りたいですね。単に行政にお願いするのではなく、運営に発案者が参加出来るような事業実施が出来れば、本当の意味での市民との協働になると思っています。」

 これもまた立派なオープンガバメントだ。(了)