【CTF2015】グラフィックレコーディング 〜創造的な議論の可視化〜

公開日: 著者:
CTF2015 Room A グラフィックレコーディング動画 15倍速 from yhsk on Vimeo

【特集】CIVIC TECH FORUM 2015

 CIVIC TECH FORUM 2015(2015年3月29日開催)特集として、本イベントの運営委員や各セッションの企画担当者”コンテンツチェア”に振り返り記事を書いてもらった。文章に加え、動画・写真・グラフィックレコーディングを合わせ、セッションの概要から詳細まで把握できる構成になっている。

執筆:三澤直加(株式会社グラグリッド CIVIC TECH FORUM 2015 グラフィックレコーディングチーム責任者)

グラフィックレコーディングとは?

 グラフィックレコーディング(以下グラレコ)とは、講演や会議の内容を、イラストや図解を使ってグラフィカルに記録する手法である。予め決まった内容を書くのではなく、その場で起こったハプニングやアドリブ、会場の盛り上がりを肌で感じながら、内容を聴き取り、構造化し、見やすいように手書きで表現する。

 昨今、このグラレコを取り入れて行われるカンファレンスが急速に増加している。わかりやすい議事録としての役割を超えて、参加者の関与度を高め議論を活性化するために有効であるからだ。

リアルタイムに行う視覚化

 CIVIC TECH FORUM 2015では、2つの部屋で行われた4つの講演と4つのパネルディスカッションに加え、27テーマで行われたアンカンファレンス(創造的井戸端会議)まで、全てのコンテンツがグラレコで記録された。実際にどのような記録が行われたのかは、こちら(https://flic.kr/s/aHsk9XGMST)を見ていただきたい。(アンカンファレンスの記録27枚は除く)

 ステージの傍らに模造紙を広げ、セッションが行われている間リアルタイムに記録を行い、そして、次のセッションが始まると同時に、共用スペースに掲示するという流れだ。

グラレコでふりかえり、キーワードを確かめる参加者

 共用スペースには、次々と新しいグラレコが掲示され、その前には参加者が集まるようになっていった。
 グラレコを見ながら「そうそう、こういう内容だったよね。」と頷きながら写真を撮る人。「あ、これ聞きたかった講演だ!」と食い入るようにグラレコを読み解く人。グラレコを指さしながら「ここってどういう話だったの?」と内容について議論を始める人。グラレコを“読む”ことで、パネラーの主張や自らの気付きにじっくりと向き合う機会が生まれたのだ。

多様性のある記録をつくる“チーム”

グラレコチーム
当日のグラフィックレコーダーたち

 これらのグラレコを行ったのは12名のグラフィックレコーダー達だ。普段はデザイナーやファシリテーターとして働いている者、教師やデザインを学ぶ学生などである。

 通常グラレコは、レコーダー1〜2人で書くことが多い。認知度が低くグラレコできる人を見つけること自体が難しいからだ。そのような状況で、「グラフィックレコーディング勉強会」や「グラフィックレコーダーネットワーク」を通して、さまざまなタイプのレコーダーを集めることができた。今回のように12名のチームとして組織的に活動することは、とても珍しく、先進的な取り組みであると言える。

 すでにグラレコの実例を見ていただいた方は、気づかれたことだろう。グラレコには実にさまざまなスタイルがある。特定のルールや記述方式があるわけではなく、その場の目的に合わせてレコーダーが創意工夫を行っているからだ。今回のようにさまざまな職種のレコーダーが記録を行うということは、多様な解釈、多様な表現を示すことであり、より多くの参加者に共感される記録をつくりだすことになると考えている。

創造的な場をつくるコミュニケーションの道具として

 グラレコは完璧な記録ではない。
 レコーダーが解釈し自由に表現しているという点で、レコーダーのフィルターを通して変換された不確かな記録となる。理解できなかったものは抜け落ちてしまうこともある。
 しかし、だからこそ解釈のズレを知り、多様性を受け入れる場が育つ。抜け漏れを埋めようと学びが促進される。完璧でない代わりに、大事なものが記録されるのだ。

 まだまだ普及されていないグラフィックレコーディング。創造的な場をつくる一つのコミュニケーションツールとして、今後、多くの場で活用されていくことを願う。


関連リンク

http://www.slideshare.net/Naoka/ctf2015-graphic-recording(CTF2015 グラレコ まとめ(スライドシェア))
https://flic.kr/s/aHsk9XGMST(CTF2015 グラフィックレコーディング 画像(Flickr))